有用微生物群
EMは、Effective Microorganisms(有用微生物群)の頭文字からとった略称で、自然界に存在する有用微生物群で構成されている資材である。比嘉照夫教授によって開発された。特徴として、光合成細菌、乳酸菌、酵母を中心とした抗酸化機能を有する多種多様な微生物が複合的に調和共生している点が挙げられる。
「微生物をすべて、酸化と抗酸化の機能に分けて活用する方法に到達したのがEMである」(比嘉照夫「新世紀EM環境革命」総合ユニコム2003より)
乳酸菌、酵母の他、放線菌や納豆菌など、従来土着の有用微生物と言われるものは、ほとんどがEMの仲間であり、土着菌との関わりにおいてEMは共生的性格を持つと言われている。つまりEMは本質的にはごく身近な自然に存在する生き物であり、土壌に定着させその特性を発揮させる(一定の効果を得る)には、使う側(栽培者)の創意工夫(創造性)が求められるゆえんである。
開発者の比嘉教授は次のように述べている。
「EMの効果は、EMが増殖し、多様な抗酸化物質が産生され、その機能性が現れた場合である。(中略)作付け前にEMの密度を高め、周年を通して土壌中に蘇生的かつ発酵合成型の微生物のジャングルをつくり、育てるという新しい育土の概念が必要である」(前掲書「新世紀EM環境革命」より)
EMの原理として、従来の既成概念を大きく破る特質などが謳われていることから数々の批判にさらされてきたことも事実である。しかし、一方で農業にとどまらず、医療、環境、土木建築等々様々な分野で活用されており、多くの国々、自治体でEMが導入されている。また環境教育の一環にEMを取り入れている学校は全国数千に上ると言われている。これほどまでにあらゆる分野で世界的に注目を浴びた微生物資材は他に類を見ないが、農業生産にとどまらず微生物の潜在性(ポテンシャル)を認識させた功績は大きいと言えるのかもしれない。