田植え終わる

はらだ自然農園の田植えは、6月9日より始まり6月28日に無事に終わった。とりあえず(そう、とりあえず)田植えが終わるとホッとする(田植えが終わると、しばらく出来なかった畦草刈りや田の草取りが待っているのだ)。この日々のために1年の農作業があると言っても決して過言ではない、稲の苗を田んぼに植える、いわゆる田植え、この日々のために、この日々に合せて田んぼを仕上げる、田んぼの土を育てる、田作りとも土づくりとも言う、それは収穫が終わった直後から、次年度の栽培に向けて既に始まっている。こうして一年一年の積み重ねで土は育つ。

田植え後(自然農法無農薬栽培)
田植え後(自然農法無農薬栽培)

田植え後の様子(2019年6月17日撮影 京都丹波の里はらだ自然農園)

栽培者には、収穫後から田植えまでの栽培イメージ、つまり田んぼの土を育てていくイメージが明確に広がっている。稲が育ちやすい環境(田んぼ)を育てていくこと、とりわけ当農園のように、自然農法(無農薬・無除草剤・無化学肥料)でお米を育て栽培していくためには、土が最も大切になってくる。

少し専門的になるが、収穫残渣の稲ワラを、田植えまでにいかに土に還元していくか、育土のポイントはこの一言に尽きると言っていいかもしれない。収穫後の稲ワラが微生物の体に取り込まれ、あらゆる土壌生物のエサになり、土を育てる材料になり、土そのものになっていく過程、これを栽培者として自然に従い、手助けする、そう栽培者は手助けしかできない、稲などの作物を育てる上では決して主体になることはない、稲を育てるのは自然だからだ。

シオカラトンボ(自然農法無農薬栽培の田んぼにて)
シオカラトンボ(自然農法無農薬栽培の田んぼにて)

シオカラトンボ(2019年7月10日撮影 京都丹波の里はらだ自然農園)

そして何より栽培者としてのその過程は天気に大きく左右される。冬から春にかけて雨が多い年は農作業が難しくなる。いずれにせよ、稲ワラが微生物達によって、よりよく分解され、土に取り込まれていく様子を常にイメージしながら農作業(田起こし)に入る。天気の様子、田んぼの乾き具合を観察しながら田んぼを耕す、栽培者の心はこの時期、常に稲ワラにあり土にある、でも雨が続き田んぼがなかなか乾かないとイメージ通りにはいかないこともある、農は天気に合わせるしかない。

今日は田植えが無事に終了したことを報告したかった。そしてこの田植えのために1年間の農作業に精を出していること、稲を、とくに自然農法無農薬栽培で稲を育てる上で最も大切なことは田んぼの土を育てることであることを書いた。

ところで例年、田植えの最中に沢池のハスの花が咲き始め、田植えが終わると見頃を迎える。カメラを構える、ファインダーの中のハスの大きな花、しばし異空間に連れ出してくれるような、ゆるやかな時間が流れる。本当はこれは決して異空間などではなく、魂が求めているものなのかもしれない、忙しい時間、早いリズム、緊張した毎日、本当は気づいているけれども、行かなくてはならない、私達はどこへ行くのか?

沢池のハス(2019年7月7日撮影)
沢池のハス(2019年7月7日撮影)

沢池のハス(2019年7月7日撮影)