
目次
・はじめに
・お米ダイエットについて、よく言われていること
・ご飯が食べられるダイエット~お米では太らない~
お米を食べても太らない。むしろお米を食べたほうが痩せやすい。
・食べる順番と血糖値との関わり
食べる順番に気をつける意味は血糖値の抑制にある
・美味しさの秘密
食後の血を抑える食べ方~三角食べ~
美味しさは体を良くする
玄米は血糖値の上昇が緩やか
お米の本当の美味しさ
大切なことは体の声に従うこと
・お米は最高のエネルギー源
農作業にお米は必須
・お米はどれくらいの量を食べるといいのか?
食べた分、動くことは基本
朝食を抜く
・和食が基本
ご飯とお味噌汁が基本
体が欲するものを食べる~お米ダイエットはお米選びから~
・お米とおかずの割合
歯の本数と食時のあり方
・昔の人は今の倍近くもお米を食べていた
・お昼はお弁当に
レジスタントスターチ
お弁当の美味しさ
・まとめ
はじめに
私は、無農薬の自然栽培米や自然農法米を育てている米農家である。自然栽培や自然農法のお米は美味しいので、毎日、ご飯をかなりたくさん食べている。
私の生活習慣(食生活)は、一般的な「お米ダイエット」の方法によく似ている。しかし私はダイエットはしていないし、何と言っても肉体労働なので、農繁期は大きいお茶碗で1日9杯ぐらい食べる。
しかし太らない。逆に農繁期の夏場はやや痩せる。そう、お米なんていくら食べても全く太らない。ちなみに私は現在、標準体型であるが(BMIおよそ21)、太ろうと思えば十分に太れる体質である。
「お米なんていくら食べても太らないぜ!」という自身の感覚(身体感覚)がはっきりとある。

ゆえに、以前、“糖質制限ダイエット”なるものがあることを知った時は、心底驚いた。そして「お米でやせる!?糖質制限ダイエットについて思う」を投稿した。そこでは糖質制限に与しない理由を述べた。
しかし、思いのほか「お米ダイエット」や「ご飯ダイエット」に興味を持って当ホームページに訪問してくださる方が多いことを知った。そう、日本人はやっぱりお米が食べたい、お米が好きなのだ。
そこで今回はお米を育てる米農家として「お米ダイエットについて思うこと」を、また「米農家ならではのおすすめ極意!」を、自身のダイエット経験は皆無ながらも毎日お米をたらふく食べる米農家になってからのほうが若い時よりスリムな体型を維持しやすい自身の経験(生活習慣)をふまえ、今一度整理しお伝えしたい。
お米ダイエットについて、よく言われていること

まずは、お米ダイエット(ご飯ダイエット)について、一般的に、よく言われていることを、キーワード的に以下に列挙する。
- お米を食べたほうが痩せやすい
- ご飯が食べられるダイエット
- 一食お茶碗一杯
- お米6:おかず4
- 和食が基本
- 具だくさんの味噌汁といっしょに
- 食べる順番がポイント(野菜→魚/肉→ご飯の順)
- お米は栄養豊富
- お米は体の代謝機能をup
- ご飯は消化がよくエネルギー源になる
- お米の消費量は減ったが、肥満や病気は増えた
- 冷やご飯に多いレジスタントスターチによる整腸作用
- 玄米や雑穀米は白米より食物繊維が豊富(血糖値の上昇抑制など)
- 寝る3時間前以降は食べない 等々
先に述べたように私の生活習慣等は概ね上記ポイントと似ている。異なる点として、私は平均よりかなり多くご飯を食べること、食べる順番はあまり気にしていないこと、体が欲するものを食べる、等が挙げられる。
以下に、お米ダイエットについて、順を追ってポイントを述べていきたい。また上記にはない、米農家ならではの極意!もお伝えしたい。
ご飯が食べられるダイエット~お米では太らない~

白米と分つき米の2色盛り
食は人を良くすると書く。美味しいは“美しい味”と書く。
ご飯が食べられる喜び。食を美味しくいただく楽しみ。食時は幸せのひとときである。
“美味しさ”には、気持ちよく痩せるための“秘密”がある(詳細後述)。
お米を食べても太らない。むしろお米を食べたほうが痩せやすい。
先に述べたように、私には「お米なんていくら食べても太らない」という確かな身体感覚がある。他の方のブログを見ていると、むしろお米を食べたほうが痩せやすいということが書いてあって、なるほど、本当にそう思う。
食べる順番と血糖値との関わり

食べる順番に気をつける意味は血糖値の抑制にある
お米ダイエットでは、食べる順番を重要なポイントに挙げている人が多い。まず野菜、次にタンパク質、食時の最後にご飯という順番である。
お米(ご飯)を先に食べると、血糖値が急上昇し、インスリンの働きにより、余剰となったブドウ糖が脂肪細胞に取り込まれるので、先に血糖値の上昇を緩やかにする繊維質の多い野菜を食べ、次ぎに魚や肉などのタンパク質を取り、最後にお米を食べるようにする。つまり食べる順番に気をつけることで血糖値の上昇を防ぎ、脂肪の蓄積につながるインスリンの働きを抑制する、ということだ。
食後の血糖値の上昇は、自然な生理現象であり、生体の維持に必要不可欠な栄養(エネルギー源)が準備されたことを意味している。血液中のブドウ糖はインスリンの働きにより全身の細胞に送り届けられ、結果として血糖値が下がる。しかし様々なアナウンスの影響により、正常な血糖値の上昇さえ、ことさらに悪く捉える現代の風潮がある!
美味しさの秘密

食後の血糖値を抑える食べ方 ~三角食べ~
他にも、食後の血糖値の上昇を緩やかにする食べ方がある。
そのひとつとして、炭水化物と食物繊維の組み合わせがある。
それは先に述べた「食事の初めに野菜などの食物繊維を食べる」方法に限らず、「炭水化物と食物繊維をいっしょに食べる」ことでも食後の高血糖を抑える効果が認められている。糖質と食物繊維が絡み合うことで糖分の消化吸収スピードが遅くなるということだ。

また同様にタンパク質や脂肪やお酢などといっしょに食べることでも血糖値を抑制する効果が認められている。つまり、ご飯と色々なおかずをいっしょに食べる“口内調味”、いわゆる日本の伝統的な“三角食べ”は血糖値の上昇を緩やかにすると言われている。
美味しさは体を良くする

美しい味と書く“美味しさ”は体を良くするのだ。
“美味しい”は、体が求める、体にとっていいことなのだ。
そして、個体差(個人差)があるように、人によって美味しいの基準は異なり、また日によっても体調によっても、その人がより美味しく感じるものや、欲するものが違う。
玄米は血糖値の上昇が緩やか
GI値という、各食品に与えられる「血糖上昇指数」というのがある。GI値が高いと食後血糖値が上昇しやすく、GI値が低いと食後血糖の上昇が緩やかな食品である、ということである。
例えば、お米のGI値は、白米>分つき米>玄米の順に高い、つまりお米でいうと白米がもっとも血糖値が上昇しやすく、玄米は上昇しにくい。一般に玄米などの「全粒穀物」はGI値が低い傾向がある。
玄米を白米に精製する過程で削り取られるお米の外側(いわゆる米ぬかの部分)には玄米栄養の約80%が含まれている。米ぬかには、マグネシウム・カルシウム・鉄・リン・カリウムなどのミネラルや、ビタミンB1・B2、タンパク質、、フィチン酸、脂質(パンに比べて少ない)、食物繊維、γ(ガンマ)-オリザノール(血糖値を下げる効果が認められている)など様々な栄養分が多く含まれている。
上に述べたように、特に玄米にはミネラル、ビタミン、食物繊維が多く含まれ、かつ血糖値の上昇が緩やかなため、本格的にダイエットを行うなら、白米より分つき米、さらに玄米がおすすめと言える。
お米の本当の美味しさ

お米の本当の美味しさは、お米の外側にある。好みの違いはあるが、手間暇かけて育てられた本当に美味しいお米は、透き通る程きれいに精白された白米よりも、分つき米や、胚芽が十分残るほどに浅く精米した白米のほうが美味しい。
以前、長年の経験を積まれた和食の料理人の方に、当農園の自然農法産米を精白方法を変えて(白米と8分つき米)試食してもらったことがあったが、きれいに精白された白米よりも「分つき米のほうが美味しい」と言われたことがある。そのお店では、白米ではなく、8分つき米をお客さんに提供されている。
大切なことは体の声に従うこと
ダイエットにせよ、何にせよ、体の声に従うことが大切だ。
体が求める美味しさは、その人の体を良くする。
私は、玄米は冬には食べるが、夏には一切食べない。玄米は冬に欲し、夏には欲しないからだ。体に良いという理由だけでは食を選ばない。
大切なことは、体がそれを求めるかどうか、美味しく感じるかどうかなのだ。
それは、ダイエットでも同じことだと思う。
お米は最高のエネルギー源

農作業にお米は必須!
農繁期は早朝から日暮れまで農作業に精を出す。そんな日々にお米なしでは到底体はもたないだろう。そう、お米は最高のエネルギー源、日本人にとってお米に優る力の源(栄養)はないだろう。
私の場合、農繁期の朝と昼の食事は、お米がかなりの割合を占める。40代までは昼のお弁当ではお茶碗4杯分くらい食べていた。それでもご飯は消化がいいのでお腹はすぐ軽くなってすっきりするし、夜まで間食なしで十分なエネルギー源になる。
それだけ食べても、お米で太るという身体感覚はない。
お米は消化がよく、かつエネルギーの持続力が高い、とても優れた食なのだ。
お米はどれくらいの量を食べるといいのか?
体の代謝機能を上げることで“太りにくい体”になることは周知の事実である。
低カロリー食は結果的に消費カロリーの低下に結びつき体の代謝機能を下げてしまい、逆効果になるという指摘がある。
その点、お米(特に玄米や分つき米)はビタミンやミネラルなどが豊富で栄養バランスに優れているため代謝機能の向上に結びつく。
食べた分、動くことは基本

お米の食べる量と運動量は程よくつり合う必要がある。私が農繁期、お米をいっぱい食べても、やや痩せるのは、食べる量よりも運動量が優るからだ。だから農繁期はお腹いっぱい食べることが多いが、もし夏の農繁期に毎食腹八分目を心がければ栄養が足らなくなってくる可能性がある。

話を戻すが、実際に毎日どれくらいの量のご飯(お米)を食べればいいのだろうか?
ダイエットでは、日頃の運動量に見合った食事(お米ダイエット食)の量に対し、腹八分目を心がければいいのではないだろうか、経験的にはそう思う。
つまり、肉体労働者の私は一食につき三杯だが、人によって一食につき一杯であったり二杯であったりする。
朝食を抜く
和食が基本

ご飯とお味噌汁が基本
料理の献立は、ご飯(お米)とお味噌汁が中心。
お米はもちろんだが、やっぱりお味噌汁は欠かせない。
味噌は日本の伝統的な発酵健康食品であり良質なタンパク質である。お味噌汁最高!そう、だからこそ、味噌の素材や製法にもこだわりたいし、お味噌汁の作り方にもこだわりたい。
手間はかかるが、昆布と鰹で出汁をとって、具も多めで、できれば無農薬の野菜がいい。

体が欲するものを食べる~お米ダイエットはお米選びから~
お米ダイエットは和食が基本であるが、必ずしも和食にはこだわらず、体が欲するものを食べよう。
(※ちなみに私は洋食や中華も好きだし、定期的によく食べる、特に農繁期は農作業でよく動いているので、何でもよく食べる。しかし甘いものはあまり欲せず、たまにしか食べたくない。)
繰り返すが、体が欲するものを食べることが最も大切だと思っている。体の声によく耳を傾ける、そしてダイエットとか健康云々ではなく、まずは、“心底美味しい”と自分が感じるものだけを食べる、そこから始まる、そう思う。
お米ダイエット、それは“本当に美味しいと感じるお米選び”から始まるのだ。
お米とおかずの割合

お米ダイエットでは、お米とおかずの食べる割合として、お米6:おかず4が理想的な量として一般的にすすめられている。
ちなみに、私は、良いとか悪いとかではなく、朝昼晩のお米とおかずの食べる量を平均すると、もっとお米の比率が高い(7:3くらいだろうか)。もし、お米:おかず=6:4という割合が、“糖質により太る”という観点からのものであるならば、お米の比率がこれより高くても、太るという感覚は個人的には全くない。
歯の本数と食時のあり方
前回記事でも書いたが、人の歯は、比率にすると、臼歯5:門歯2:犬歯1の割合で生えている。
臼歯は穀物類、門歯は野菜や果物、犬歯は肉を食するに適している。臼歯の比率は62.5%である、つまり、穀物の割合62.5%が人の理想の食事のあり方を示しているという考え方だ(ちなみに肉食動物は犬歯がよく発達し、草食動物は臼歯が大きく平らになっている)。
歯の本数と役割という観点からは、お米6強、おかず4弱くらいということになるが・・・。
昔の人は今の倍近くもお米を食べていた!
昔の人はお米をとてもたくさん(今の倍近く)食べていた(下図参照)。総エネルギーの70~80%を炭水化物から摂取していたのだ。しかし肥満や糖尿病などの生活習慣病は明らかに少なかった。体型や健康状態に問題はなかったのである。

生活スタイルの変化に伴う運動量の大幅な減少は一考に値する。
また脂質の取り過ぎなど食生活の欧米化もしかりである。
いずれにせよ、あらゆる意味で“食”が一般的な問題となり始めるのは近年になってからのことである。
お昼は手作りのお弁当で!
レジスタントスターチ
ウィキペディアによれば、ご飯を“冷やす”ことにより、レジスタントスターチ(難消化性でんぷんと呼ばれる食物繊維の1種)の量が増える。
このレジスタントスターチには、血糖値を抑制したり、腸内環境を整え善玉菌を増やしたり、更には中性脂肪やコレステロールの上昇を抑えるなど、体への効用があることが報告されている。
またレジスタントスターチは時間をかけて体に吸収されるため、空腹感を抑えたり、血糖値を低く抑える効果がある。
このため、ダイエットや整腸の目的で、ご飯などのデンプン質食品を冷やしてレジスタントスターチを増やす方法が紹介されることもある。
(参考文献:フリー百科事典「ウィキペディア」:レジスタントスターチ)
レジスタントスターチを増やすには、4~5℃まで冷やす必要がある(冷蔵庫が最適)。しかし冷やした後で常温に戻しても一度増えたレジスタントスターチの量は変わらないようだ(※再加熱はレジスタントスターチ量が減少)。
お弁当の美味しさ
私は冬でも弁当を持って作業に出るが、冬の弁当のご飯はとても冷えている。冬ならわざわざ冷やさなくても“レジスタントスターチ効果”は期待できそうだ。
しかし一般的にはお弁当にレジスタントスターチ効果は期待できない。
しかしお弁当の冷めたご飯はとても美味しい。炊きたてのご飯とはまた違った趣きや風味や食感がある。特に自然栽培米や自然農法米のお弁当ご飯やおにぎりは格別である。その美味しさは、体にとってとても優しく、体に良いことを示している。
まとめ
以下にお米ダイエットの方法について簡単にポイントをまとめてみた。
お米では太らない、むしろお米を食べたほうが痩せやすい体になる。
しかし何と言ってもダイエット、よく動くことが大切!お米と運動の組み合わせが太りにくい体を作る!
朝食抜きがおすすめ!午前中すっかりお腹が減るまで、しっかり動くというスタイル!
よく動き、お腹が減った分に対し、食事を腹八分目に心がける。
和食が基本だが、体の声に従い、体が欲するものを食べる。
おかずより、ご飯を多めに食べる。目安:ご飯を6割以上。
美味しいは、体が求める、体に良いこと。美味しいと感じるものだけを食べるようにする。
食べる順番だけに限らず、三角食べ(口内調味)もダイエットに有効。
ダイエットには、胚芽が十分残るぐらい浅く精米した白米や分つき米、または玄米が適している。
お米ダイエットは“自分のお米選び”から始まる。自分の体に合った、本当に美味しいと思えるお米をぜひ見つけよう。
値段は少々高くても、無農薬のお米はやっぱり美味しいし、ダイエットのためにも、健康のためにも、是非おすすめしたい!
最後までお付き合い頂きまして誠にありがとうございました。(完)